頻尿対策と漢方薬~西洋薬との違い
頻尿と薬 蓄尿障害か排尿障害か では頻尿の薬について述べましたが、これは西洋薬についてのものでした。
ここでは、頻尿に効果があるとされる漢方薬についてご説明します。
そもそも漢方薬は、1967年に保険薬として認可され、日本の病院でも9割近くの医師が必要に応じて処方しているとされます。
現在、およそ150種類の漢方薬が保険適用の対象となっています。泌尿器科においても、近年は漢方薬の処方率は高まってきているようです。
西洋の薬は、「1つの成分だけが1つの病状に強く働きかける」ことが基本のメカニズムとなっていますが、それに対して漢方薬は「複数の生薬に含まれる基本成分が、同時多発的に体の健康な状態に働きかける」という違いがあります。
頻尿も体がある種の機能異常を起こしていると捉え、漢方の世界ではこれを「腎虚(じんきょ)」とか「お血(おけつ)」と呼びます。
腎虚とは「泌尿器や生殖器、あるいは腎臓など身体の臓器の機能が低下すること」を指し、お血とは「血液の流れが滞ること」を意味します。
漢方では「腎虚やお血により、様々な身体の不調が症状になって表れる」という捉え方をします。
例えば前立腺肥大症は腎虚とお血がからみ合って引き起こされると考え、血流をよくする働きのある漢方成分が処方されることになります。
一方で漢方薬は、西洋薬がもたらしがちな副作用による症状の軽減を目的として、西洋薬に代替ないし併用されることがあります。
漢方薬も副作用がゼロということはありませんので、特に西洋薬と併用する場合は医師とよく相談することが必須です。
ただ漢方薬は服用を止めるだけで副作用は解消されるため、心配の必要はありません。頻尿の症状別にそれぞれ適した漢方薬が、保険適用薬としても用意されています。
加齢や冷えによる(夜間)頻尿に対しては、腎虚で欠けた腎を補う補腎(ほじん)が必要と考えられ、「八味地黄丸(はちみじおうがん)」や「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」が適しています。
特に牛車腎気丸は、抗コリン剤の使いにくい前立腺肥大を伴う頻尿に対しても、処方されることが多くあります。
心因性の頻尿に対しては「清心蓮子飲(せいしんれんしいん)」が適するとされますが、この清心蓮子飲は膀胱炎や尿道炎などの「細菌性の頻尿」には効果が乏しいとされます。
細菌性の頻尿には「猪苓湯(ちょれいとう)」、症状が重い場合は「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」が最適とされます。
猪苓湯は急性・慢性に関わらず、広く膀胱炎の症状に適した漢方薬として有名です。
これら漢方薬はいずれも2週間~1ヶ月ほど服用を続け、何かしら副作用があったり、あるいは症状の改善が乏しいと感じた場合には担当医と相談しつつ、別成分の漢方薬に替えて治療を続けてみましょう。
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