頻尿と薬 蓄尿障害か排尿障害か
頻尿の治療薬も、病状や原因によって使い分けられるのは、他の病気と変わりません。
頻尿や尿失禁など、いわゆる「蓄尿(尿をためる)障害」の治療薬として古くからよく知られているのは、「抗コリン薬」です。
この薬は膀胱のむやみな収縮を抑える作用があり、膀胱に尿がためやすくなります。
抗コリン薬は、過活動膀胱にも有用な薬です。
抗コリン薬は種類がたくさんあるだけでなく、その効果にも個人差があるため、残尿量を病院で定期的に検査しながら、服薬量を調整していく必要があります。
抗コリン薬の副作用には口内の乾き・便秘などがあり、副作用がでた場合は、通常は薬の投与量を調整して様子を見ることになります。
蓄尿障害の薬には、膀胱の筋肉(平滑筋)を緩めて尿をたくさん貯めることによって排尿回数を減らす「膀胱平滑筋弛緩薬」もあります。 ただし膀胱の収縮を抑える作用は、抗コリン薬より弱いとされます。
一方、「排尿(尿を出す)障害」である前立腺肥大症の場合は、膀胱に直接働きかけてそれを改善する「α1ブロッカー(α1受容体遮断薬)」が、主に用いられます。
α1ブロッカーには、前立腺を緩めて尿道の圧迫を軽くする作用もあります。
前立腺肥大症は過活動膀胱を伴っていることが多いため、α1ブロッカー(α1受容体遮断薬)に抗コリン薬を併用することがあります。
蓄尿と排尿の障害は片方づつしか生じないわけではなく、互いに関連し、共存しあう症状でもあります。
したがって両者に関わる薬が併用される治療も、その薬効は相反するものでなく、双方のメリットを活かした治療として、その効果が確認されています(ただし、専門医のもと注意深く行われる必要があります)。
他にも前立腺肥大症の薬物治療においては、前立腺を小さくするための「抗男性ホルモン剤」や、生薬系統の薬・漢方薬が投与されることがあります。
膀胱炎や尿道炎などの細菌感染によって起こる頻尿には、抗生物質が使用されます。
この場合、排尿時の痛みや尿の濁り・血尿などが典型的症状となりますが、細菌の種類が非常に多いため、まず病院で原因となる菌の種類を特定した後、適切な抗生物質を投与することになります。
細菌が原因の場合は抗生物質の投与により、症状が数日で好転するケースが多く見られます。
頻尿の治療においては、効果を高めるため、医師から投薬と並行して電気刺激による神経治療や、運動療法を指示されることもあります。
医師の指導のもと、一ヶ月ほど経過しても投薬治療の効果が見られない場合は、外科的療法(手術)や、他の病気が原因疾患である可能性も併せて検討されることになります。
なお頻尿の症状ごとに、異なる漢方薬による治療もあります。頻尿対策と漢方薬~西洋薬との違いをご参照下さい。
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