夜間頻尿 原因ごとに異なる対策


睡眠中に尿意をもよおしてトイレに行きたくなる。これがひんぱんに起こるのが「夜間頻尿」です。


排尿に問題のない人の場合、夜眠っている間に尿意によって目が覚めることは、一回あるかないか程度です。

統一された夜間頻尿の定義はありませんが、臨床上は夜眠りについてから朝起きるまで2回以上トイレに行くのが普通になったら、夜間頻尿と判断されるようです。

日本でも夜間頻尿にかかる世代別調査があり、40歳代で夜間に1回以上トイレに立つ人が男40%強・女40%弱、50歳代では男60%強・女60%弱に達しています。

夜間頻尿は高齢になるほど増加する傾向にあり、70歳以上ともなると男女問わず9割が、就寝中一度はトイレに立つそうです。


単純に考えると、寝ている間に作られる尿の量が多くなるから、夜間にトイレに行く回数が増えるわけですね。

ではなぜ、夜間の尿量が特に多くなるのでしょうか?


スポンサーリンク


以下にご説明するように理由はいくつか考えられますが、夜寝ている間に作られる尿の量は、本来なら昼間よりも少なくなるはずなのです。

なぜなら、脳から分泌される「抗利尿ホルモン」には、腎臓で作られる尿を濃縮する(したがって尿量も減る)はたらきがあるからです。抗利尿ホルモンは通常、睡眠中に多く分泌されます。

起きて朝一番にオシッコをすると、日中よりも尿の色が濃いことにお気づきですよね?これが、就寝中に尿が濃縮されていることの証左です。


知っておきたいのは、若くても夜間頻尿は起こり得ること、そして原因がいくつかに分かれているため、それに応じた対策を打つ必要があることです。

まず、一番原因としてわかりやすいのが「日中における水分のとり過ぎ」ということです。

一般に高齢になるにつれ水を飲まなくなると指摘されていますが、それでも自宅でテレビを見ながら、お茶を何杯もおかわりするような生活スタイルの高齢者は少なくありません。


水分摂取は一日におよそ1.5リットルの程度が適正とされるケースが多いのですが、尿量の多いと感じる人は、日中の水分のとり過ぎの有無をまず最初に確かめてみるとよいでしょう。

このように一回の排尿量が多いケースでは、単純に水分のとり方を変えるだけで、夜中にトイレに行く回数が改善されます。


日中の食事における「塩分の過剰摂取」も、夜間頻尿を招く一因とする研究結果もあります。塩を多く使った食事を摂ることで喉も渇き、必然的に昼間の水分摂取量が増えるからです。

さらに腎臓が体内の過剰な塩分を尿として排出しようとするため、夜間頻尿が促されやすくなります。

塩分取り過ぎで夜間頻尿に長崎大、700人で検証(47NEWS)


水分の摂取量にさほど問題がない場合、高齢者なら加齢による内臓機能の低下が疑われます。

歳をとったことで抗利尿ホルモンが十分に分泌されなくなる・膀胱の日中に尿を溜められる量が低下する、といった原因が考えられます。


また高血圧や心臓病の高齢者は降圧剤や強心剤を服用していることが多いものですが、これらの薬が利尿作用を促すことにより、結果的に夜間頻尿となっている場合もあります。

この場合は担当医と相談のうえ、薬の変更や量の調整が検討されるべきです。


夜間にトイレに立つ回数が多くても、一回の排尿量が少ない場合は、過活動膀胱や日中の排尿量が少ないことによる残尿感から、頻尿につながっているケースも考えられます。

残尿感は、前立腺肥大症で膀胱が神経障害を起こしていたり、あるいは糖尿病・腎機能障害の症状として生じる場合があります。

細菌感染によって膀胱が炎症を起こして膀胱のサイズが小さくなり、尿を多くためられなくなって、排出回数が増えている症例もあります。


心因性の不眠や眠りの浅さが原因となっていることもあり、この場合の治療の方向は「睡眠の質の改善」になります。

ストレスで眠れない、外部の物音が止まず寝室が睡眠に最適な環境とは言えない、日中ほとんど運動していないせいで身体が疲れていない…こういったケースでは頻尿の治療以外に、抗うつ薬や睡眠薬による治療が必要となる場合もあります。


夜間頻尿では、上に列挙した原因が複合的に関与して発症することも珍しくないことから、思い当たる節がある場合は日々の排尿の症状や排尿量を「排尿日誌」として記録し、問診票による専門医の診察を受けるときに持参すると、より適切な診断の一助になるでしょう。


次の記事は「頻尿と薬 蓄尿障害か排尿障害か」です。

ひとつ前の記事は「頻尿の原因と、間質性膀胱炎」です。

すべての記事は⇒こちらから

スポンサーリンク


カテゴリ


【関連サイト】

更年期障害 症状と対策~安心を得るために

本サイトの情報提供について

本サイト「頻尿 原因を自分で調べて対策」は、頻尿に関わる情報の収集・整理をお手伝いすることが目的です。あくまで、これらに関わる広範な一般的知識と情報提供を行うことを趣旨としており、またこれらの情報提供行為により、何らの責任を負うものではありません。本サイトに登場する関連情報につきましては、ご自身の判断のもとご使用・ご利用いただくようお願いいたします。

プライバシーポリシー

本サイト内には、第三者配信(広告配信事業者としてのGoogle)による広告配信において「Webビーコン」「cookie(クッキー)」と呼ばれる技術を使用しているページがあります。Webビーコンは特定のページに何回のアクセスがなされたかを知るための技術であり、またクッキーはサイト利用者がウェブサイトを訪れた際にサイト利用者のコンピューター内に記録される小さなファイルです。このような広告配信事業者は、ユーザーの興味に基づく商品やサービスの広告を表示するため、当サイトや他サイトへのアクセスに関する情報を使用することがあります。但し記録される情報には、皆様の氏名やEメールアドレスや電話番号や住所などの、個人を特定する情報は含まれません。クッキーは皆様のブラウザを識別することはできますが、皆様自身を識別することはできません。クッキーを受け入れたくない場合は、使用しないよう拒否設定することが可能です。このプロセスの詳細やこのような情報が広告配信事業者に使用されないようにする方法についてはこちらをクリックしてください。

TOPPAGE  TOP